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役所(介護担当課)に行く時、事前に何ができるかを調べるべき理由。 [番外編]

(この記事について)
 この記事は、市区町村の介護担当課に相談しに行く場合の手順をまとめたものです。

(市区町村の介護担当課にご相談下さい!?)
 在宅介護を一人の介護者(介護をする人)が抱え込んで、相談もできずに刑事事件に発展する事案が毎月のように発生しています。このため、市区町村の関係者(上席者、責任者)が非難されたくなくて、よくこんな文面の広告を市区町村の発行するお知らせやポスターにしています。

「ご心配やご不安のある方(介護者)は、介護担当課にご相談下さい」

 ところが、このお知らせがより深刻な問題を引き起こし、行政に対する不信感を増幅、増強する原因になっている。


(追い返されるのには、理由がある)
 孤独介護の末に、介護者が疲労困憊(ひろうこんぱい)して、介護担当課に尋ねた場合を考えてみましょう。
 介護者は、たぶん、自分の状況を説明しようとします。しかし、まとまりがなく、前後関係や状況をうまく伝えることが出来ません。そもそも介護制度を深く広く理解して介護者をやっている人が非常に少ないので、何をどうしたら良いかわからない状況になっています。
 そして、そういう人に対して、ケアマネージャーはほとんど機能しません。なぜなら、ケアマネージャーは、要介護者のことには関心を持ちますが、家族介護者のことには介入しないケースが多いからです。

 一方、上記のようなケースを介護担当課の担当者に持ち込まれた場合、そもそも介護担当課の担当者の知識レベルが非常に低いことがよくあります。私も経験がありますが、深刻な介護支援を要請しようとした時に、相談窓口で新人さんのOJT(職場)研修を始められたことがあります(当然、止めさせました)。
 つまり、そもそも追い込まれている状況の介護者の状況を窓口の介護経験が無い、実務的な介護知識もほぼゼロに近い担当者に適切な状況判断は難しい、ということになります。

 もちろん、介護担当課にも切れ者がいるのですが、当然、少数ですし、そもそも多忙で窓口業務に手が回らないのが現状だと推測しています。つまり、窓口担当なら誰でもできると思って、介護担当者としての知識基準を下回る人が出てくる可能性が高くなっているのだろう、と推測しています。


(準備不足の相談者を追い返す知識レベルの低い担当者)
 相談にきた介護者が準備不足のまま相談をしようとする、
 介護知識や介護経験のレベルが低い人が窓口担当者として対応しようとする、

 上記の2つが巡り合うと、大きな不幸や大きな事件、大きな事故を誘発することになります。窓口担当者は、処理能力が無いために、追い返そうと様々な方法を駆使するようになります。
 一方、相談に来た介護者は、「行政は何もしてくれない」、「行政に頼ってはいけない」、「どうすることも出来ない」と追い込まれて、大きな事件になる導火線に火を放つ状況に追い込まれます。

 それでは解決策を検討していきます。

(現状を白紙に書き出してみる)
 冒頭にも説明しましたが、家族介護者が追い込まれてしまうと、自分の置かれている状況が正しく理解できなくなり、非常に危機的な状況になります。
 そこで介護者にお願いしたいのは、自分の置かれている状況を客観的に把握することです。
 まずはノートか画用紙を用意します。カレンダーの裏でもいいです。

1)介護者の1日の時間の流れを書き出していきます。
2)同様に要介護者の1日に時間の流れを書き出していきます。
3)どんなことで苦しんでいるかを具体的に書き出していきます。
 例)要介護者が裸足のまま、家の外に飛び出してしまう。トイレまでの介護が困難。介護者の睡眠時間の確保が困難。介護者の仕事と介護との両立が困難。など
4)他にも他の家族との関係や介護に関係する課題があれば、小さな事柄も書き出していきます。

ここまで出来たら、その表を眺めてみて下さい。
書き出した内容が全体的に網羅(もうら)されていれば、それが現状を現してします。


(ケアマネージャーに根掘り葉掘り尋ねる)
 介護者が十分に睡眠時間(最低6時間/日)を確保できない場合には、そのことを理由として、現在の介護支援体制を変更するためにケアマネージャーにどのような制度があるか、利用できるサービスがあるかを根掘り葉掘り尋ねる必要があります。
 要介護者の面談日でも良いですし、面談日まで日数があるなら、電話でケアマネージャーや介護事業者に問い合わせても良いでしょう。
 追い込まれていないなら、相談日時を設定して、30分ぐらいの質疑でどんなサービスを受ければ、状況を改善できるかを追求するのが良いでしょう。
 ちなみにケアマネージャーが相談に応じない場合や利用できるサービスに関する知識が低い場合には別の人または介護事業者を交代させることを検討する必要があります。


(行政にできることは調べれば、通常は分かる)
 介護者が行政サービスについて最初にやるべきことは、介護資料を集めることです。市区町村は、通常どのような施策を行なっているかをまとめてパンフレットにしています。紙資料やインターネットでもpdfファイルなどでまとめてあります。市報(市区町村で定期的に発行する案内紙)もよく読んでいると、4月や10月頃には、その年の介護政策をまとめた資料を紹介していると思います。
 例えば、病院までの交通手段として介護タクシーが利用できる、とか、ショートステイサービスを利用できる場合の条件、それぞれの自治体毎に異なるサービスについては、これらを調べる必要があります。


(状況が分かってきたら、解決策を検討する)
 ケアマネージャーや行政から入手した情報に基づいて、どんな制度を利用すれば、要介護者と介護者の生活状況を改善できるかを検討します。
 特別養護老人ホームのような長期入所型の介護施設に入所できる場合を除けば、デイサービス、デイケア、ショートステイ、お風呂サービスなどのサービスを組み合わせることを検討することになるでしょう。
 また、在宅介護の場合、自宅の改修や介護用品の充実も重要となります。例えば、要介護2になりそうなら、車椅子の配備を検討するべき段階かもしれません。また、廊下に手摺りを配置したり、握り棒などが重要になる場合があります。


(それぞれ出来ることと出来ないことがことがある)
 役所の特徴は、制度として制定されている行政サービスは実施できるが、制度として整備されていない行政サービスは実施できない、ということです。そして市民から要請(申請)が来て初めて制度が利用できるようになります。
 ケアマネージャーも国の介護制度や各地方自治体の介護制度に基づいて活動範囲が定められています。このため、要介護者のためにはいろいろな作業や支援ができるようになっています。ただし、介護者に対する支援については、現状では明確に支援することは出来ません。これは法律や条例、実務上の運用によって制約を受けるからです。ただし、広義で介護者を支援することが結果的に要介護者を支援することになる場合には、協力してもらえることが多いです。ケアマネージャーも大義名分が必要なのです。
 同様に市区町村の介護担当課も定められた介護支援サービスなら提供される可能性が高いです。一方で支援事業とされていないことは出来ないのが一般的です。

(介護担当課へ行く時には、要求したい項目を明確にしておくことが重要)
 以上を踏まえた上で、介護担当課へ乗り込む際には、その市区町村で実施している介護サービス(介護支援サービス)のどのサービスを受けたいか、そしてそれを受けるためにはどうすれば良いか、自分たち(要介護者と介護者)の置かれている困難な状況を客観的に説明する資料(先ほど作成した表)を用意します。

 介護担当課の相談担当者が出てきたら、順番に状況を説明していきます。
 簡単な方法は、最初に作成した自分たちの状況がわかる表を相談担当者に示しつつ、介護サービスを拡充したい旨を説明するのが良いでしょう。


(ケアマネージャーが解決できる、と言われたら)
 市区町村の介護担当課の相談担当者から「その介護サービス、介護支援サービスならケアマネージャーに相談して下さい」、と言われるケースがあると思います。
 ここで、先ほどの事前のケアマネージャーとの話し合いが生きてきます。どういうサービスが受けられるかを事前に担当ケアマネージャーと相談すれば、出来ること、出来ないことが理由と一緒に説明されます。役所のたらい回し攻撃に対しては、「ケアマネージャーと相談しましたが、対処できないと言われた。だからこちらに介護担当課に来た」と伝えましょう。その上で、「サービスが受けれると言うことなら、そちらからケアマネージャーに対してどうしてサービスが受けられないのか、確認して欲しい」と伝えましょう。くれぐれも言葉だけで丁寧に伝えて下さい。繰り返し伝えるのは問題ありません。
 相談担当者と水かけ論になった場合、相談に応じない態度を続ける場合には、上席者に変わるように要求しましょう。相談担当者は通常、権限を持っていませんし、込み入った事情の場合、上席者に事情を理解してもらう方が重要だからです。

 これで、あなたの介護相談事案は、市区町村の介護担当課と介護事業者の責任問題となりました。相談担当者もケアマネージャーも無責任な行動は取れませんので、介護者の緊急事態が解消するまで付き合ってもらえるようになるでしょう。要介護者の介護度が上がる前に家族介護者の支援体制をもう一度整備し直すことは介護破綻を回避する上で非常に重要です。重要な点は、介護担当課とケアマネージャーに介護状況を詳細に理解してもらい、「いやー、私たちも知りませんでした、知っていたら必ず助けられたのですが…」といった逃げ口上を許さない状況にすることです。


(だめ地方自治体で介護事件は起きている)
 警察事案になる介護事件に共通するのは、ケアマネージャーやその地域の市区町村の介護担当課が最後まで状況を把握していない点です。また、報連相(ほうれんそう、報告、連絡、相談)の体制が事実上機能していない地方自治体であると言えます。
 知っていれば、当然、介入する事案になっているだろう、と私は報道から得られる情報から分析しています。
 警察庁(法務省、検察庁)も介護事件に関しては、担当したケアマネージャーや介護事業者、市区町村の介護担当課を関連容疑者、事件関係先として家宅捜索や保護責任に関係する容疑者としての事情聴取するなどの強い処罰体制を構築しないと今後は介護事件が増加することを懸念するべきでしょう。


(本来であれば、介護者に対する研修や広報が必要)
 私のブログを見つけて読んでいる人は、一日数名程度です。一方、毎日介護をしている人は、日本国内には、家族介護だけに限定しても300万人以上います。しかし、介護者は、何をするべきかを学ぶ制度は未だにこの国には存在しません。
 いまだに家族介護者に対する総合的な研修制度がありません。

 介護技術だけではダメです。介護支援体制をどうやって構築するか、介護サービス、介護支援サービスをどのように組み合わせるか、どのタイミングで老人ホームなどへの入所を決断するべきか、など様々なことを検討したり、学んだりする必要があります。
 市区町村の介護担当課にしても首長にしても「相談」しか言わないのは、非常に無責任だと私は考えています。地方自治権があるのだから、相談よりも制度だろう、と私は考えています。家族介護者を支援するためには、介護技術、介護制度、救命技術、消防への連絡手段、病状管理など多岐の知識や情報が必要となります。
 行政は相変わらず何もしないなあ、と私は感じています。

(介護者が積極的に行動するしか現状では解決策がありません)
 介護者が悩んでいるのは、ある意味で仕方のないことです。必要な介護支援制度が存在しないからです。しかし、現状では、上記の通り、介護支援を求めるには、介護者や介護者の周りの家族が支援する必要があります。


(まとめ)
 市区町村の介護担当課に行く際には、自分たちの介護状況が分かる表を用意して、具体的に受けたい介護サービス(介護支援サービス)を調べた上で、交渉に行く。



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