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あとがき、大変だけれども貴重な体験になる [あとがき]

介護家族者の視点から
1. 要介護者(私なら母)の知らなかった一面を知ることができる
2. たくさんの関係者に支えられて人は生きている
3. 人間的に成長する
4. 最後に課題は残る

 私が在宅介護を始める決断をしたのは、母がどうしても在宅介護を強く希望し、自室(自宅)で一生を終えたいと繰り返し強く主張していたからでした。
 私は本書でも記述してきたように様々な条件をクリアした上で、会社を辞職し、介護家族者として介護を行ってきました。
 要介護者の介護をしている最中は、介護の状況が常に変化するので、次の一手を常に考えながら、目の前の介護を行っていました。
 介護が終了して、今は本書を記述しながら、母とのやりとりを思い出しています。ご近所の皆さん、リハビリクリニック、ケアマネージャーさん、お風呂屋さん、病院のスタッフの皆さん、先生方、介護用品・介護サービスの会社の方、母のお友達、親族、親戚などいろいろな人たちが関わることで在宅介護が円滑に運営することができました。会社勤めしていた時には知らなかったたくさんの人たちに私も接することで人間的に成長することもできました。
 介護は、介護をする人の人生を大きく変えるでしょう。それは、転職よりも大きな影響があると思います。
 介護の終了は、要介護者(私なら母)の旅立ちを意味します。それは、同時に最後の介護について課題を残すことになるでしょう。「ああすればよかった」「こうすればよかった」と思う部分が多少なりとも残ると思います。その課題は、介護を担ってきた人(介護家族者)が自分の墓場まで持っていくことになると思います。
 本書は経験に基づいて書かれているため、読者の中には、自分なら違うやり方を選択する、自分ならもっとうまくやる、と思う方もいると思います。その気持ちを大切にして在宅介護に臨んで頂ければ幸いです。在宅介護に関しては、老人ホームなどと比較しても体系的な支援体制がまだ十分に整備されていません。また、学術研究も進んでいません。特に、介護家族者に対する自治体や政府の取り組みも貧弱なままです。多くの方の発言が現状を打破することに役立つと思います。
 本書を読んでいただいた読者の方の介護に対する知識や理解が深まっていただけたのなら光栄です。
 ありがとうございました。

2016年11月
正木 修

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あとがき、介護はプロジェクト [あとがき]

プロジェクト在宅介護
1. 要介護者の余生を在宅で過ごすことを実現する
2. 要介護者の人権を守り、過ごしやすい環境を整備する
3. 要介護者をサポートする専門家や協力者を組織し、プロジェクトチームとして機能するようにする
4. 収入(年金・預貯金)と支出(介護費用・医療費・生活費)とスケジュールを適正に管理する
5. 決断を後悔しない体制をできるだけ維持する

 私は、コンピュータ技術者であり、金融機関で使うシステムの開発・運用の管理者を長年務めてきました。その間、いくつものプロジェクトに参加し、指揮統制も経験してきました。
 介護は、多くの専門家を活用する作業の連続です。しかも専門分野が異なる専門家同士の調整は、介護家族者がケアマネージャーと連携して行う必要があります。
 各分野の専門家は、自分の専門分野に関して責任を持った行動を行い、介護家族者にも詳細な説明をしてくれます。しかし、自分の専門分野から少しでも出てしまうと、途端に無口になります。多くの介護家族者が戸惑う原因の一つは、異なる分野の専門家同士をつなぐ方法が分からないからだと思います。
 介護家族者は、自分がわからない点や納得できない点をそれぞれの専門家に伝える努力を続ける必要があります。そして、それぞれの専門家の助言を深く十分に理解できるようになる努力をする義務があります。多くの専門家は介護家族者が粘り強く学び続ける限り、非常に協力的であり、できること・できないことを説明してくれます。
 それぞれの専門家の助言が理解できるようになれば、それぞれの専門家に介護家族者としての要望(指示)が出せるようになります。実現可能な要望(指示)なら専門家はすぐに行動を起こすでしょう。
 介護家族者は、専門家ではありません。また、介護に関わる各種の専門家を統制するための訓練も受けていません。さらに、老衰(要介護状態)の進行と共にどのような場面(対応が難しい場面、危機的な場面)が発生するかについてのまとまった授業を受けることもできません。これらのことは、現時点では、介護家族者が手探りで探求するしか方法がありません。難しい課題を昼夜休日関係なく、十分な支援や教育もなく介護家族者は行っているので、悩むのは当然なのだと思います。政府も各地方自治体も在宅介護で悩んでいる多くの人たちのために積極的に手を差し伸べるべきだと私は考えます。政府や各地方自治体による実効性のある救援が来るまでは、介護家族者が踏ん張るしかないのが現状です。
 世間では、家族による在宅介護は、誰にでもできる、すぐにできる、何も難しいことはない、などと誤解されています。
 現実は、要介護者の健康状態をにらみながら、介護家族者は必要な知識を吸収し、適切な専門家を連れてきて、適切な介護・看護・医療・生活援助を専門家にお願い(指示)しないといけません。そして実施する作業は、要介護者の要望・方針を尊重したものになっていることを絶えず確認しながら進めていくことが求められます。
 要介護者と介護家族者の関係が親子の場合でも相手の生活に踏み込んでいくには、相当の覚悟と度胸が必要になります。特に要介護者の生死に関わる決断をするためには、要介護者と介護家族者の間に深い信頼関係を構築することが必要になります。
 介護家族者の中には、自分の実務作業で悩んでいる方もいると思います。悩んでいる介護家族者は、もっとケアマネージャーを活用して下さい。ケアマネージャーは、通常、数人から数十人の要介護者を担当しています。そして同じくらいの人数の介護家族者とも会っています。経験を積んだケアマネージャーは、いろいろな改善策や解決策を提案してくれます。
 要介護者が現在、安定した日常を過ごしているのなら、介護家族者の実施しているプロジェクトはうまくいっています。次の事態に備え、状況が良くなった場合の一手と状況が悪くなった場合の一手を考えておきましょう。
 介護家族者は、プロジェクトリーダーとして誇りを持って活動してください。

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