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医療崩壊とは医療サービスのタイムスリップを意味する、という話 [番外編]

(この記事について)
 この記事は新型コロナ感染者数が増大している中で、医療サービスの機能停止について検討した記事です。

(医療崩壊って何?)
 最近、医療崩壊という言葉がよく使われる様になってきました。年末頃から、満床などのキーワードとともに私はこの言葉を追跡していたのですが、そのまとめをこの記事にします。
 なお、医学的な見地からの意見ではなく、あくまでも一個人としての意見です。

(そもそも病院は今どうなっているか?)
 今、都内の病院の多くは、医療スタッフの人員不足が発生していると推定されます。
 都内のいくつかの病院のホームページには、常に求人募集が張り付いたままになっているからです。
 元々「嫌なら辞めればいい」という業界体質から転職が多い職場が多いために、定常的に離職者が一定数発生する状況になっています。一方で求人に応募する人が激減しているために人員不足が発生しているのでは無いか、と私は推定しています。
 この状況は、コロナ対応病院かどうかはあまり関係無いと思われます。結局、介護している家族や子育て中の子供がいる医療スタッフは、絶対に感染しないための究極の選択として離職していると思います。
 医療スタッフが感染した場合も、労災が無条件で認められるかどうか不明である点や休業補償が約束されていないことも離職を誘発する原因になっているのでは無いか、と想像しています。


(満床では無いけれど、満床とほぼ同じ状況?)
 満床かどうかを取り上げるメディアが増えてきています。しかし、どうも話はそう簡単では無い様です。
 満床になれば、当然、受け入れ拒否となる訳ですが、一部では満床で無くても受け入れ拒否が発生していると思われます。恐らく医療スタッフが足りないためと思われます。
 コロナ対応病床の場合、通常の看護体制では人員が不足するため、通常よりも人員を増やす必要があります。ところが、定常的に人員不足のために現時点で既に人員不足が激化していると思われます。
そうなると、二人分の仕事を一人で行うような超過重労働が発生します。短期間ならなんとかなるでしょうが、数週間その状態なら、過労死や休職に追い込まれます。悪循環の結果、病院機能を大幅に縮小することになるでしょう。

ここから本題です。

(結局、医療崩壊とは?)
 病院が壊れるようなイメージをしている方もいると思いますが、私が推定した結果は、以下の通りです。

「医療崩壊とは、医療サービスにおいて、10年単位で過去にタイムスリップした状態になる」

ということです。以下にその推論結果を記載します。

(医療機器、薬、医療スタッフが足りなくなっていく)
 エクモ(ECMO、体外式膜型人工肺)、人工呼吸装置、アビガン(薬)、腹臥位(ふくがい)療法などいろいろな医療サービスが投入することで、現在、多くの病院ではコロナ患者を救命しています。
 しかし、入院した患者は中等症から重症のため、2、3週間の入院が必要となります。入院の必要な患者が激増すれば、入院出来ずに治療出来ない、ということにつながります。
 
(ICUから徐々に撃沈?)
 現状の推移から推定すると、ICU(集中治療室)などから満床となり、コロナ病床の満床、普通病床の満床となっていくものと推定されます。
 上記にも書きました通り、仮にベットが空いていても医療スタッフの不足が激化するので、人員不足が激化した時点でその病院の新規受け入れは停止することになります。

(少しでも不足状態が発生すると、不足状態は激化しやすい)
 昨年3月頃のマスク騒動や、最近でも人気ゲーム機の供給不足をご存知の方も多いと思います。
 物不足は、不足状態となった時点で激化しやすい特徴を持っています。
 病院の病床不足も同じ構図を持っています。既に老人保健施設でのクラスター感染の際に転送できる病床が不足する事態が散発的に発生しており、恐らく今後本格的にその状態が常態化すると推測されます。
 この状況が発生した場合、中国が武漢で行ったのと同じようにホテルや臨時救護所などをどんどん臨時病床とすることです。

(受けられる医療サービスは昭和60年代ぐらいまで後退する?)
 コロナ感染者の10%が入院治療を必要とした場合でも、上記の通り医療スタッフが十分に確保できない事態が予想されます。また、医療機器や治療薬などの供給も十分に確保できるかどうか不明です。
 その結果、感染者が激増した場合には、とりあえず昭和60年代頃の医療サービス水準まで一気に低下すると予想されます。つまり、30年前の水準ですね。その頃、アビガン(薬)は無かったし、医療機器も今のような高性能なものも無かったです。患者一人当たりの医療スタッフも激減して30年前の医療水準のサービスしか受けられない、となると私は推定しています。


(感染後の死亡率10%に若者は耐えられるか?)
 感染者が毎日2万人発生する状況になると、そのうち、最低10%が入院を必要とする患者になるでしょう。ところが、病院が機能停止していますから在宅療養またはホテル療養することになります。
 この場合、医療水準は、昭和30年代か昭和20年代の水準になります。つまり、投薬無し、医療機器無し、医療スタッフの監視なし、の3無し状態です。
 昭和の初め頃は、救急車もほとんどありませんでしたので、家族が家や職場で倒れると医者が駆けつけて死亡診断書を書いていた、なんて時代がありました。そういう状況になっていくのかもしれません。

 この場合、入院して加療するべき人の多くは死亡することになります。つまり、上記の10%の人の多くは、死亡することになります。
 1日で2万人感染者が発生する状況の場合、2千人/日が適切な治療を受けられずに死亡することなります。仮にこの状態がワクチンの普及前に1年間続いた場合には、以下のような状況になります。

年間感染者数:730万人
年間死亡者数:73万人

 ちなみに米国での現時点での感染者数は2000万人、死者数は34.6万人(出典、google検索、ウキペディア、ニューヨークタイムズ)となっています。米国よりも日本の方が人口密集度が高いはずですから、一旦感染急増が発生すると制御困難になることが推測できます。

 感染力が強くなったウイルスに、拡散力(行動力)がある10代から50代の人たちが次々に感染します。高齢者や持病のある人は警戒態勢をとっているので感染者数の増加は限定的でしょう。
 つまり感染急増の主力は10代から50代の感染した人であり、その10%が死亡する事態となっていきます。


(友人、同僚、同級生、上司、知人、親族が亡くなったら自覚する?)
 50代までで生死に関わる入院をする人はほとんどいません。死にそうな病気になった人もほとんどいません。
 そもそも自分の周りで死ぬ人がいないのが普通だと思います。
 結果として、「今回のコロナ危機について、ピンと来ないのは仕方の無いことだ」と私は思います。
 東日本大震災の際にも大津波を認識していなかった人が大多数だったために被害が大きくなりました。今回も20万人から30万人程度の死者が出るまでは、身近な人が亡くなるまでは、10代から50代の行動を止めない人たちに事態の深刻さが認識されない、と推定されます。


(要介護者を守るためには)
 要介護者を守るために出来ることは、限定的だと思います。
1)厚生労働省が伝えている感染予防策を引き続き行う。
2)感染確率の高い場所(カラオケ店への出入り、キャバクラなどの飲食店など)への出入りはしない。
3)上記の1)、2)を守れない同居家族に対しては、別居するように要求する。

くらいでしょう。家庭内感染が増えているのは、基本的な感染対策を守れない家族がいるためです。感染対策が徹底できない家族が感染した場合の死亡確率が5%かもしれないし、10%、15%かもしれません。この程度の数値だと感染しても構わないと思ってしまうのも無理ありません(性格的なものですから)。ただし、その場合には、別居して要介護者を守る必要があるでしょう。


(最後に)
 「10代から50代の感染者のうち10%が入院できずに死亡する」、というのは、私の推定です。しかし、このインパクトは、企業経営者や地方自治体の首長に衝撃的な事態を招くでしょう。
 もし、この事態が現実化した場合、例えば、ある会社の50人の部署でクラスター感染が発生した場合、5人が死亡し、15人が出社が制限される後遺症で苦しむことになります。当然企業活動は大幅に制限され、事業縮小や業績悪化などに直結することになるでしょう。ちなみに死亡する5人は年齢が高い人の方が確率が高くなりますから、上席者である可能性が高いでしょう。
 米国のように感染者に対する死亡者数が数%に抑え込めれば、事態は軽減できると思いますが、人口密度の高い日本でうまくいくのだろうか?、というのが私の意見です。




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